【最新情報】結局どうなった?『年収103万円の壁』 -vol.2-

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「年収の壁」という言葉を何度も耳にした2025年度の税制改正。与野党の駆け引きが続いた結果、私たちに影響する所得税分野は少し複雑な形となりました。

今回のコラムでは、2025年以降の所得税がどのように変わるのかを整理してみます。

■そもそも年収の壁とは?

まず、今回の所得税の改正で変わった主な点は以下の3点です。

 ①基礎控除額が引き上げられた

 ②給与所得控除額が引き上げられた

 ③特定親族特別控除という制度が新たにできた

このうち、①の基礎控除額の引き上げは、ほぼすべての人が恩恵を受ける「減税」ですが、②と③については、適用対象となる方が限られます。基本的には「年収の低い人への配慮」「大学生の子がいる世帯への配慮」が中心となっているからです。

そもそも、働くことで勤務先から得るお給料などは「給与所得」として、所得税・住民税の課税対象となります。ただし、収入額が一定以下の場合は税金が課されないことになっていて、この「税金が掛かるか掛からないかの境目」を一般的に「年収の壁」と表現しています。

今回の改正の基本は、「基礎控除額を48万円から58万円に引き上げ」「給与所得控除額の最低控除額を55万円から65万円に引き上げ」という2つの効果によって、給与所得者の年収の壁を103万円から123万円に引き上げることです。さらに、所得の低い方への配慮として、基礎控除額は最大95万円が適用されるため、年収160万円までは所得税がかからないことになりました。

ちなみに、一定の収入に満たない人で家族の扶養に入っている人は、税金だけでなく社会保険料(厚生年金や健康保険の掛け金)の負担がありません。つまり、「年収の壁」には「税金面の年収の壁」と「社会保険面の年収の壁」の2種類があるということですが、今回は税金面の壁だけを取り上げます。

■基礎控除額の引き上げ

基礎控除とは、納税者本人の合計所得金額が2,500万円以下の場合に適用を受けられるものです。もともとは、納税者全員に無条件で適用されていましたが、2020年(令和2年)の税制改正で所得による制限が付けられ、今回その制限がかなり細分化されました。しかも一部については2025年と2026年の2年間限定で適用されるということもあり、かなりややこしいものとなっています。

【基礎控除の金額】

column2_image3(※)令和7年分・8年分の措置

ほとんどの方が該当する合計所得金額2,400万円以下のケースで、これまでは48万円だった基礎控除額が、年収(合計所得金額)に応じて48万円~95万円になっています。

■給与所得控除額の引き上げ

給与所得の計算では、実際にかかった必要経費ではなく、みなし経費とされる給与所得控除額を差し引きます。こちらも今回の改正で変更となりましたが、控除額の最低保障額が55万円から65万円になったという、とても単純な変更です。

そして、基礎控除額と給与所得控除額を合わせた「所得税がかからない年収基準」は、103万円から123万円~160万円に引き上げられたわけです。

 

給与所得控除額

■特定親族特別控除の創設

もうひとつ、今回の改正では特定親族特別控除が創設されました。

所得税の計算において、年末時点の年齢が19歳以上23歳未満の親族を「特定扶養親族」と呼びます。簡単にいうと大学生の子どもがいる場合に適用を受けられるものです。

ただ、大学生ともなるとアルバイトでそれなりに稼ぐ子もでてきます。

これまでの制度では、大学生の子の年収が103万円を超えると、親の所得税計算において、扶養控除の適用(19歳以上23歳未満の子がいる場合は63万円)を受けることができなくなり、税額が増える状況になっていました。

それが今回できた新たな制度により、子の年収が150万円になるまでは、63万円の所得控除が受けられるようになったのです。なお、150万円を超えると控除額は段階的に減少し、188万円超でゼロとなります。

ちなみに、子育て世帯に対する配慮としては、住宅ローンを返済している人が適用を受けられる「住宅ローン控除」について、⼦育て世帯や若者夫婦世帯に対する住宅取得⽀援として実施されていた借⼊限度額の上乗せの期限が1年延長されました。20251231日以前に建築確認を受けたものについて適用されます。

ここでいう「子育て世帯等」とは、①年齢40歳未満であって配偶者を有する者②年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者又は③年齢19歳未満の扶養親族を有する者をいいます。

■最後に

税制改正は毎年行われますが、今年は特に注目度の高い改正となりました。

また、所得税では今後も「生命保険料控除の上乗せ」や「確定拠出年金の一時金受け取り時の重複廃除期間の変更」、「iDeCoの掛金上限額の変更」といった改正が予定されていますし、子ども手当の増額に伴う「扶養控除の見直し」も適用が始まります。

私たちの暮らしに関わる制度は、税金のほかに社会保険制度があり、そちらも毎年の年金額の変更のほか、時代の変化に応じた改正が実施されていきます。

情報を追いかけるのは大変ですが、自分事として関心を持つようにしましょう。

 

一般社団法人日本定年力検定協会
代表理事 栗本大介(CFP®認定者/1級FP技能士)

 

 

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