おひとりさまこそ大切な“お金以外”の老後準備 -vol.3-

 

2023年の国民生活基礎調査によると、65歳以上の者のいる世帯は2,695.1万世帯で、全世帯の49.5%。その内訳は、夫婦のみの世帯が32.0%なのに対して単独世帯は31.7%と、ほぼ同数になっています。おひとりさまと呼ばれる単独世帯は、必ずしも生涯独身というわけではなく、離別や死別によって単独世帯になるケースも含まれます。そう考えると、いまは夫婦二人で生活している世帯であっても、老後をおひとりさまとして暮らす場面を意識しておく必要はあるでしょう。おひとりさまの場合、日常生活をサポートしてくれる相手がいないのであれば、老後に向けた資金準備はもちろん、健康面や人間関係の構築等、資金面の準備以外にも特に目を向けておくことが大切といえます。

※一番お伝えしたいことは、データを踏まえ最後に述べていますので、ぜひご一読ください。

■最新の調査データからみた『おひとりさまコスト』

最初に家計調査(2024年)の統計を確認しましょう。ここでは、仕事を辞めた後の生活をイメージしていただくため、高齢無職世帯を取り上げます。

65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の実収入は、月額平均252,818円となっていて、このうち89.1%にあたる225,182円が公的年金を中心とした社会保障給付です。一方の支出は、消費支出256,521円と非消費支出(税金や社会保険料)30,356円を合わせて月額286,877円ですから、差引約3.4万円が毎月のマイナスとなります。(図1参照)

家計調査報告 2024年(令和6年)平均結果の概要より

 

これに対して、高齢無職単身世帯では、実収入134,116円に対して、消費支出149,286円と非消費支出12,647円を合わせた支出合計は161,933円。毎月約2.8万円のマイナスとなっています。ここで意識していただきたいのは、世帯人数が半分だからといって、消費支出が半分になるわけではないという点です。(図2参照)

家計調査報告 2024年(令和6年)平均結果の概要より

 

夫婦世帯の消費支出256,521円の2分の1である128,260円と、単身世帯の消費支出149,286円の差額である月額21,000円ほどが、いわば「おひとりさまのコスト」と言えるかもしれません。

もちろん、これはあくまでも統計に基づく平均値ですから、実際の収入や支出は一人ひとり大きく異なります。基本的な考え方を身に付けたあとは、ご自身のねんきん定期便で具体的な数字を確認することや、退職後の生活費に対する具体的なイメージを早めの段階で持つようにしたいですね。

■事前の備えで費用を抑えておく『イベント費用などの支出』

また、日常生活費以外にも、住宅リフォームや車の買換え、旅行といったイベント費用、医療や介護にかかる費用などの支出があります。ただし、こうした支出は、日頃からの努力や準備によって節約できるものです。健康に気を付けて医療費を抑えたり、車や家電製品のメンテナンスを適切に行い長持ちさせたりすることも、大切なリタイアメントプランの一つと言えるでしょう。なお、万一の際の備えについて、病気やケガといった身体に対する保障だけを考えがちですが、最近では自然災害による住まいの損害も多くなっています。ご自身の加入している保険や共済をチェックする際は、生命保険や医療保険だけでなく、火災保険等の損害保険も忘れないように確認しましょう。

こうしたイベント費用の中で、おひとりさまが特に気をつけておきたいのは医療や介護にかかる費用です。配偶者や子どもなど、支えてくれる家族が身近にいる場合と違い、おひとりさまだと、事業者のサービス等に頼る必要が出てくるかもしれません。また、お買い物やお金の管理など、若い時には当たり前のように自分で行っていたことができなくなった時についても、に、どのように頼むのか”を考えておくことはとても大切なのです。こうしたお金以外の老後準備は、語られる機会が少なく、忘れられがちな点に注意を要します。

■人とのつながりを大切に

最後に、ここまでの話をまとめますと、おひとりさまは、生活のコストがかかりがちであるという資金面の課題と、思うように動けなくなった際にどうするかという人的なサポート面(=お金以外の面)の課題があることがわかります。

実際、これまで携わってきた相談者を振り返ると、高齢者のおひとりさまは、経済的な不安よりも、生活全般の管理やサポートに不安を覚える人が多いと感じます。現役時代に、教育費とも住宅ローンとも無縁で経済的には余裕のあった方でも、仕事以外に周囲との交流を持たないままリタイア生活を迎えると、家事や身の回りのことが満足にできなくなった際、お金にゆとりはあっても自宅に引きこもりがちになってしまうものです。その結果、体を壊したり、認知症が進行したりしても、身近に頼る人がいないため、ますます厳しい状況に陥ります。入院や介護施設への入所を検討した際も、保証人欄にサインをしてくれる人がいないと手続きが困難となります。

高齢期には経済的な準備だけでは対応しきれない様々な問題が生じます。健康の維持はもちろん、学生時代の仲間や仕事を通じた知り合い、親族との関係やご近所付き合い、趣味を通じたつながりなど、人とのつながりを大切にすることが、いざという時の大きなセーフティネットとなる点を忘れないようにしましょう。

 

 

一般社団法人日本定年力検定協会
代表理事 栗本大介(CFP®認定者/1級FP技能士)

 

 

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