「ある日突然、介護が始まる」“ビジネスケアラー”になった時、会社はどう支える? -vol.4-

定年前後の社員の方々にとって、「親の介護」は決して他人事ではありません。
とはいえ、実際に介護が始まると、仕事との両立に悩み、相談先もわからず、離職を選ばざるを得ない社員も少なくありません。

企業にとっても、介護による離職は熟練人材の損失です。
だからこそ、備えは「介護が始まる前」から始めることが鍵になります。

今回のコラムでは、制度づくりよりも前に、人事部としてできる“小さな支援”に焦点を当て、介護知識がまだない社員の方々にも響く内容をわかりやすく紹介しています。

■親が元気だったのは「昨日まで」の話かもしれません

50代・60代になると、親御さんも80代を超えてくることが多くなり、「そろそろ介護のことも考えなきゃいけないかな……」と漠然とした不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

でも実際には、「そろそろ」の前触れもなく、介護は“ある日突然”始まるケースが多いのです。

例えば、

「元気だった母が転倒して骨折、しばらく入院に」
「父の物忘れが気になっていたら、認知症と診断された」
「一人暮らしの親が、体調を崩して寝込んでしまった」

こういった出来事は、いつ誰に起きてもおかしくありません。仕事と両立しながら、親の介護を担うことになった方を、今では「ビジネスケアラー」と呼びます。

介護は長く・終わりが見えにくいからこそ、準備が大切

介護と育児は似ているようで、実はまったく違います。
育児はある程度ゴールが見えていて、社会全体のサポートも整ってきていますが、介護はそうではありません。

  • いつ始まるか、予測がつかない
  • どれくらい続くか、わからない
  • 自分の体力や働き方に影響が出やすい
  • 兄弟や家族間での役割分担が難しい

このような理由から、心身ともに消耗しやすいのが介護です。しかも、会社の仕事も待ってはくれません。

「このまま仕事を続けられるのか」
「休むにしても、どう手続きをすればいいのか」
「そもそも社内に相談できる窓口があるのか」

そんな不安を抱えながら、誰にも言えずに苦しんでいる方も少なくありません。

企業として、できる「小さな一歩」

人事部の皆さまにとっても、「仕事と介護の両立支援」は、これからますます重要なテーマになっていくはずです。
でも、「新しい制度を整えよう」と構える必要はありません。大切なのは、社員が「自分は一人じゃない」と思えるような“きっかけ”をつくること。

例えば、

  • 介護に関するミニセミナーを定期的に開く
  • 社内イントラで介護制度や相談先の案内を掲載する
  • 介護を経験した社員の体験談を共有する

こうしたちょっとした取り組みでも、社員にとっては大きな安心感につながります。

「今、まだ自分には関係ない」と思っている方にこそ、伝えたい

社員一人ひとりが、仕事と介護の両立について“知っておく”だけでも、いざという時の動揺や負担は大きく変わってきます。

  • 親が元気なうちから、少しずつ準備しておく
  • 社内に相談できる窓口があることを知っておく
  • 制度を“使っていいんだ”という雰囲気がある職場で働く

そんな環境づくりが、これからの会社に求められているのではないでしょうか。

定年前後の社員が多くなるこれからの時代、企業にとっても、社員にとっても、介護は「特別な誰かの話」ではありません。
ひとつのコラムが、そんな気づきのきっかけになれば嬉しいです。

本講座でも、ビジネスケアラー支援の視点を取り入れています

私たちが提供する社内研修《リタイアメントプラン設計講座》の中でも、こうした「働きながら介護を担う可能性」について、社員一人ひとりが自分ごととして捉えられるように構成しており、介護が“突然”始まること、そして“長く”続くことを前提に、社員が自ら備えるきっかけを提供しています。

また、人事部の皆さまにとっても、「仕事と介護の両立」は、これからの人材戦略において避けて通れないテーマです。制度の整備だけでなく、社員一人ひとりが“知ること・考えること”から取り組めるよう、研修設計からご支援しておりますので、少しでも関心をお持ちいただけましたら、ぜひ一度お問合せください。

 

定期的に、講師へ直接質問ができる座談会も開催しております。お気軽にお申込みください。(詳細は下記に記載)

 

 

一般社団法人日本定年力検定協会
専務理事 米田貴虎

 

 

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