
前回のコラムでは、『ある日突然、介護が始まる』というテーマで、仕事と介護の両立に悩む「ビジネスケアラー」ついて取り上げました。親が元気だったのは「昨日まで」の話かもしれませんし、介護はいつ誰に起きてもおかしくない出来事です。
実は、介護だけでなく、「定年」もまた、あっという間に訪れるものです。50代・60代になると、多くの方が「そろそろ介護のことも考えなきゃいけないかな……」と漠然とした不安を抱えるように、「定年後の働き方」についても漠然とした不安を抱き始めるのではないでしょうか。
未来に対する不安をゼロにすることはできませんが、ご自身の描く生活をイメージし、そのための準備をすることはとても重要です。特に、「働く」という側面は、定年後の収入源としてだけでなく、社会とのつながりや自己実現の場としても、その重要性を増しています。
介護への備えが「介護が始まる前」から始めることが鍵となるように、現役で働き続けられるのもいつまでかは分かりません。だからこそ、定年後の「働く」についても、早めに準備を始めることが何よりも大切です。
定年後の「働く」多様な選択肢
かつて「定年=引退」というイメージが強かった時代は終わりを告げ、今は多様な働き方が可能です。主な選択肢としては、以下のようなものが挙げられます。
再雇用制度の活用
多くの企業で導入されている再雇用制度は、慣れた職場で引き続き働くことができる安心感があります。ただし、役職や給与体系が変わることも多いため、自身の希望と会社の条件をよく比較検討する必要があります。
転職・再就職
これまでのキャリアで培った専門性や経験を活かし、新たな企業や業界で働く道もあります。特に人手不足の分野では、シニア層の経験が重宝される傾向にあります。
フリーランス・独立
自身のスキルやノウハウを活かして独立し、コンサルタントや講師、専門職として働く道です。時間や場所に縛られにくい自由な働き方が魅力ですが、自己管理能力や営業力が求められます。
NPO活動・地域活動
収入を目的とせず、社会貢献や地域貢献を目的とした活動に参加することも、働くことの喜びを感じる一つの形です。長年の経験が、地域社会で大きく役立つことも少なくありません。
起業
長年温めてきたアイデアや夢を実現するため、定年を機に起業するケースもあります。リスクは伴いますが、自身の情熱を形にできる大きなチャンスです。
自身のキャリアを「棚卸し」し、「強み」を再発見する
多様な選択肢の中から自分に合った道を見つけるためには、まず自身のキャリアを客観的に見つめ直す「棚卸し」が不可欠です。これまでの職務経験、身につけてきたスキル、成功体験、そして何に喜びを感じ、どんな時にやりがいを感じてきたのかを書き出してみましょう。
例えば、以下のような問いを自分に投げかけてみてください。
- これまでの仕事で、最も達成感を感じたことは何ですか?
- どのようなスキルや知識を、特に深く身につけてきましたか?
- 周りの方々から「あなたらしいね」「これ、得意だよね」などと評価されることはどんなことですか?
- 仕事以外で、熱中できることや興味のある分野は何ですか?
- どのような環境で、どのような人たちと一緒に働きたいですか?
こうした「棚卸し」を通じて、意外な自分の強みや、これまで気づかなかった興味・関心を発見できることがあります。それが、セカンドキャリアを具体的にデザインする上で役立ってきます。
新たなスキル習得と資格取得の重要性
社会の変化は早く、求められるスキルも常に変化しています。定年後の「働く」を充実させるためには、現状維持だけでなく、新たなスキルの習得や資格取得も視野に入れることが有効です。例えば、デジタル技術の進化は目覚ましく、スマートフォンやITツールの活用は、生活の利便性を高めるだけでなく、情報収集や社会とのつながりを維持するためにも不可欠です。これらのスキルを習得することは、再就職の選択肢を広げるだけでなく、フリーランスとして活動する際にも役立ちます。
また、興味のある分野の専門知識を深めるための講座を受講したり、キャリアチェンジに役立つ資格を取得したりすることも、自身の市場価値を高めることにつながります。

成功事例に学ぶ、セカンドキャリアの可能性
実際にセカンドキャリアを充実させている方々の事例は、私たちに多くのヒントを与えてくれます。
例えば、
長年製造業で品質管理に携わってきたAさん(62歳)は、定年退職後、自身の経験を活かして地域のNPO法人で食品ロス削減プロジェクトのアドバイザーとして活動を始めました。収入は現役時代よりも減りましたが、「社会に貢献できている実感がある」と、いきいきと活動しています。
また、
IT企業の営業職だったBさん(58歳)は、再雇用制度を利用しつつ、週末はかねてからの夢だったカフェ経営の準備を進めています。地域のコミュニティスペースとして、多くの人が集まる場所を創り出すことが目標だそうです。
これらの事例は、必ずしも収入だけを追い求めるのではなく、自身のやりがいや社会貢献、地域とのつながりといった「働く意味」を重視するセカンドキャリアの多様性を示しています。
相談窓口や支援制度を積極的に活用する
「自分一人で考えるのは難しい」「どんな選択肢があるのか、もっと具体的に知りたい」と感じたら、一人で抱え込まず、外部の支援制度や相談窓口を積極的に活用するのも有効な手段となります。
ハローワーク
求職支援だけでなく、キャリアコンサルティングや職業訓練の案内なども行っています。
地域包括支援センター
高齢者の生活全般に関する相談を受け付けており、地域の就労支援機関の情報も得られる場合があります。
民間人材紹介会社・キャリアコンサルタント
シニア層の転職に特化したサービスを提供している会社もあります。
各自治体や商工会議所
起業支援や創業セミナーなどを開催している場合があります。
企業内の相談窓口
人事部やキャリア相談室が設置されている場合、まずは社内の担当者に相談してみるのも良いでしょう。
《リタイアメントプラン設計講座》でセカンドキャリアを設計
私どもが提供する《リタイアメントプラン設計講座》では、前回のコラムで触れた「働きながら介護を担う可能性」と同様に、定年後の「働く」についても、社員の皆様一人ひとりがご自身のこととして捉えられるよう、研修を構成しております。
介護が“突然”始まり、“長く”続くことを前提に、自ら備えるきっかけを提供するとともに、セカンドキャリアを前向きにデザインするためのサポートを研修設計からご支援しております。定年前後の社員が増えるこれからの時代、定年後の「働く」は誰にとっても他人事ではありません。
本コラムが、セカンドキャリアへの「気づき」のきっかけとなるとともに、人事ご担当者様が、社員の方々へアドバイスや情報提供を行う際の一助となれば幸いです。
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